法律相談Q/A

遺言編4

Q  夫婦とも40代です。遺言の作成は若すぎると思いますが、若いうちに遺言を作成しておく利点はありますか。
A 遺言は15歳からできます。遺言に早すぎるということはありません。しかも、遺言は、法定相続分の規定より優先されますから、上手に利用すれば愛する妻又は夫に全部又はより多く の財産を残すことができます。

  • ① 人の運命は予測がつきません。病気だけでなく交通事故や海外旅行中の不慮の事故などで亡くなることもあります。「もしも」のときに備えておくことは大切です。
  • ② 特に子供のいない夫婦はいわゆる愛のメッセージとして遺言を残しておくことをおすすめします。遺言がないために妻が困惑した一例を紹介しましょう。働き盛りの40代半ばの夫Aは、子供 がいないため自宅マンションを含む全財産を妻Bに残したいと日頃から考えていました。ところが遺言を作らずに、過労のためか、脳梗塞を患い意識が回復しないまま3ヶ月の闘病後に亡くなりまし た。夫Aには、金銭に細かい兄Cがおり不仲で日頃の付き合いもなかったのですが、葬儀後まもなく、兄Cは、妻Bに対し、夫Aの残したマンションを処分してでも自分の法定相続分である4分1に相 当する金銭を支払ってほしいと言ってきました。妻Bは、夫Aの入院中の治療費用もかかり、蓄えもほとんどなく夫Aの急逝により、このような苦境に立たされてしまいました。もし「妻Bに全財産を 相続させる。」との遺言があったらこのような苦境から妻を守ることができたのです。
  • ③ 更に、遺言者の妻の死亡や夫婦が同時に死亡した場合等の特殊な事態をも想定し、「妻へ全財産を相続させる。万一、妻が死亡していた場合には○○に全財産を遺贈する。」との予備的遺言も 含んだ遺言を作ることもできます。夫婦同時死亡のような特殊な事態を前提に、(1)遺言者とあまり付き合いのない兄弟でなく同居している義母に財産を残したいとき、(2)生活にゆとりのある実 父母よりは、生活を共にしている義父母に財産を残したいとき、(3)兄弟に均等にではなく、親しくしている弟にだけ財産を譲りたいときあるいは福祉団体に寄付したいときなどには、このような予 備的遺言をも含めた遺言を作ることをおすすめします。
  • ④ 当役場でも、最近は、40代のご夫婦の遺言も増えており、夫婦同時死亡のような特殊な事態にも備えた予備的遺言をも含んだ遺言を作るご夫婦もおります。
比較的若いうちに遺言を作っておくと、先程の「もしも」のときの備えになりますし、人生のパートナーとしての夫婦相互間の信頼、絆がなお一層深まり、お互い充実した悔いのない人生を過ごされる ことでしょう。 なお、蛇足ですが、財産がまだ十分に蓄えられていない世代ですと、比較的安価な手数料で公正証書遺言を作成することができる利点もあります。

(解答者・丸の内公証役場金子良隆公証人:役職は執筆当時)