法律相談Q&A

遺言編2

Q 以前に作った遺言を作り直しておいた方がよい場合を教えてください。

過去に遺言を作成したためにその財産には手を付けずに、自分の生活を切りつめて暮らしていた人がいました。まずは、遺言者ご自身が充実した人生をお暮らしになることが大切です。遺言は、何度で も作り替えることができますから、遺言者の最近の意思を十分に反映した遺言に作り直しておきましょう。なお、どの遺言の方式が優先するかの取り決めはありませんから公正証書遺言を自筆証書遺言 で取り消すことや内容の一部を変更することもできます。新しく作成された遺言自体が有効であることが前提ですが、新しい日付で作成された遺言が以前の遺言よりも優先します。 次のような場合には以前に作った遺言の作り直しをおすすめします。

  • ① 相続財産としての目的物の内容が、大きく変わったとき、例えば「不動産を長男に、株式を長女に相続させる」との遺言を作成しておいたのに、その後不動産を売却した場合や別の不動産を購 入した場合、あるいは、株式の価格が大暴落したまま回復の見込みがない場合などのように、相続させるべき目的物に大きな変化が生じている場合などは、遺言者の当初の意思どおりの遺言ではない可 能性が高いと思われますので、相続を受ける立場の人達の間でもトラブルが起こりかねません。このような事態をさけるためにも遺言者の最近の意思を反映した遺言に作り直しておくべきでしょう。
  • ② 相続させる相手を変更したいと思ったとき、例えば、「妻○○に全財産を相続させる」との遺言を作成しておいたのに、妻が亡くなってしまったときや妻が離婚して別の男性と再婚していると き、あるいは、遺言者が新たに子供を授かるもしくは養子縁組をするなどして、遺言者と相続を受ける人達との身分関係に大きな変化が生じている場合などには、新しい身分関係を配慮したうえでの新 しい遺言に作り直しておくべきでしょう。
  • ③ 相続させる財産の分配比率を変えたいと思ったとき、例えば「長男と長女に均等に相続させる」との遺言を作成しておいたところ、長男が難病を患い失職したまま経済的に困窮した生活をする ようになったので長男に多くの財産を相続させたいと考えることや、年をとるにつれ、自分の財産の一部を、社会に役立たせたいので福祉団体等に寄付したい、あるいは、よく自分の身の回りを世話し てくれる長男の嫁や自分の死後もペットの世話を頼みたい友人に、謝礼としてあげたいと考えることもあるでしょう。このような場合などにも以前の遺言を作り直すことを検討してみてはいかがでしょ うか。
 

(解答者・丸の内公証役場金子良隆公証人:役職は執筆当時)