法律相談Q&A

遺言編1

Q パソコンやデジタルカメラで遺言を作成することができますか。
A 民法で認められている遺言の普通の方式には、「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3方式があります。遺言として有効であるためには、法律上決められた方式 が守られていなければいけません。
  • ① このうち自筆証書遺言は、遺言者が、自分自身で、全文・日付・氏名について手書きで作成し、押印することが法律上要求されています。したがって、手書きに代えて、パソコンやワープロを 用いてプリントアウトして作成した遺言やビデオカメラに遺言者自身が述べている姿や言葉を撮影した遺言は、自筆証書遺言として認めることはできません。
  • ② つぎに、公正証書遺言は、遺言者が、法律の専門家である公証人に対し、証人2名の立会のもとに、口頭等により、遺言したい内容を伝えて、公証人がその内容を聞き取り、文章として作成 し、遺言者と証人に読み聞かせます。この遺言証書の作成者は、公証人となりますから、遺言者がパソコンやワープロを用いてプリントアウトした遺言やビデオカメラに撮影した遺言自体を公正証書遺 言とすることはできません。もっとも、遺言者が、公証人に遺言したい内容等を詳細に伝える一手段としてパソコンやデジタルカメラを、利用することは可能です。
  • ③ 最後に、秘密証書遺言は、遺言者が、遺言書に署名押印して封をし、証書に用いた印章で封印したうえ、公証人1名及び証人2名の前にその証書を提出し、その場で、遺言者が、自分の遺言で ある 旨及び記載した人の氏名等を述べ、その封紙に、公証人が所定の事項を記載し、遺言者、証人ともに署名押印する方式により作成されます。この遺言書の内容の記載方法は、遺言者の自筆に限ら ず、他人に頼んで代筆してもらったものでも、印字・印刷または点字でもかまいません。外国文でもよいのです。したがって、手書きに代えて、遺言者自身に限らず、他人に依頼してパソコンやワープ ロを用いてプリントアウトして作成した遺言でもかまいません。しかし、書面化されていなければいけませんので、ビデオカメラに遺言者自身が述べている姿や言葉を撮影した遺言では、法律上の要件 を満たすことができず、秘密証書遺言としても認められません。

以上のように、パソコンやデジタルカメラで法律上有効な遺言を作成することは、難しい場合が多いのですが、正式に作成された遺言書の補強のための役割として、いわば補助証拠として利用す るために作成しておくことは可能ですし、一定の意義もあるでしょう。なお、多くの方が、いずれかの時期に、遺言のことを考えることがあるでしょう。そのためにも、普通の遺言の方式である「自筆 証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」のそれぞれの特徴と問題点については別の機会にご紹介したいと思います。

(解答者・丸の内公証役場金子良隆公証人:役職は執筆当時)