法律相談Q&A

債権債務編1

Q 友人に小口で2年間に計80万円貸しています。何か書類に残しておきたいのですが、いい方法がありますか。
A 将来の紛争を予防するためにも信頼性の高い公文書である「債務弁済契約公正証書」などを取り交わしておくことをおすすめします。

親しい間柄でも、経済事情や人間関係の悪化などで、後日、「貸した」「全部返した」「話が違う」等の論争となることがよくあります。そのような将来の紛争を予防するためにも契約内容に 争いのない早い時期に当事者間の債権・債務関係を書面で確認しておくことや利息を含めた返済方法等を決めておくことが大切です。私文書である「念書」や「借用証」などの書面により明確にしておく方 法もありますが、金銭を貸す前であるならば、公文書である「金銭消費貸借契約公正証書」、金銭を貸した後であるならば、同じく公文書である「債務弁済契約公正証書」の作成をおすすめします。 通常の私文書等に基づき、貸し金の返還を求める場合には、第一段階として、債権者は、原告として裁判を起こし、相手方に対し金銭を貸した事実と返済期が過ぎている事実を証拠に基づい て証明し勝訴判決を得なければなりません。その際には、念書や借用証は、一応は証拠として役に立ちます。その後、勝訴判決に基づいて、強制執行の手続に進みます。ところが、公証役場で金銭消費貸借 契約・債務弁済契約などの公正証書を作成しておくと、第1段階の裁判手続を踏む必要はありません。公正証書を作成しておくだけで勝訴判決を得ているのと同じ効果があり、返済期が過ぎても金銭の返済 がなされない場合には、すぐに強制執行の手続に進むことができるのです。
ご質問の事例は、金銭を貸し付けた後なので「債務弁済契約公正証書」の作成をおすすめします。公証人と連絡をとり、金銭を貸した時期、金額、弁済方法等を伝えて相談すれば債務弁済契約公正証書 の素案を準備してもらえます。この素案を確認・修正し当事者双方が一緒に公証役場へ赴き、準備された証書に署名・押印すれば「債務弁済契約公正証書」ができあがります。原本は公証役場で保管し、当 事者は、原本と同じ内容の「正本」又は「謄本」の交付を受けます。費用概算は、この事例の場合、基本手数料その他送達費用等を加算しても約1万円を目安にすればよいでしょう。このように公証人と連 絡を取り合えば比較的簡単に作成できます。なお、作成に必要な書類は、本人確認のための「印鑑登録証明書と実印持参」又は「運転免許証等と認印持参」です。

(解答者・丸の内公証役場金子良隆公証人:役職は執筆当時)